2016-01-01から1年間の記事一覧

言い出しかねて

昨年のいまごろPodiumにビリー・ホリデイのことを書いた。2015年はビリー・ホリデイ生誕100年だった。今年は稀代のジャズ・ピアニスト、バド・パウエルのことを書こう。2016年の今年はバド・パウエル没後50年にあたった。 1960年代の前半、日本の街のあちこ…

約束の刻限

「――武蔵っ」 「…………」 「武蔵っ!」 二度いった。 沖鳴りが響いてくる。二人の足もとにも潮が騒いでいた。巌流は、答えない相手に対して、勢い声を張らないでいられなかった。 「怯れたか。策か。いずれにしても卑怯と見たぞ。――約束の刻限は疾く過ぎて、も…

Crash

オスプレイが沖縄・名護市沖の浅瀬で機体を大破する事故を起こした。 沖縄の新聞『琉球新報』は「墜落」と見出しにうたい、翁長・沖縄県知事は「墜落と認識」と語った。一方、本土の新聞やテレビは「不時着」という米軍提供―防衛省経由の用語を使った。 自衛…

カジノ

メルボルンに住んでいた1994年、あの町にカジノがつくられた。カジノをめぐっては当然賛否両論があった。つくったのは当時のヴィクトリア州首相ジェフ・ケネットである。このカジノが現在のメルボルン・クラウン・カジノの前身である。 草創期のメルボルンの…

駐米日本大使のご指名は?

英米のメディアがこの話でもちきりだ。 来年1月の大統領就任早々、TPPから手を引くことを明らかにし、目下、ホワイトハウスを右翼排外主義者の梁山泊に変えようとしているドナルド・トランプ次期米大統領が、ソーシャルメディを使って例のEU離脱の無責任右翼…

不愉快な現実

11月17日付『朝日新聞』朝刊のオピニオンのページ掲載の米大統領選挙の勝者ドナルド・トランプに関するポール・クルーグマンの論説(ニューヨーク・タイムズ紙から転載)と、エマニュエル・トッドの対談記事が面白かった。 米国人のクルーグマンは以下のよう…

あとの始末を誰がする?

来年のことを言うと鬼が笑うとのことだが、来年の1月20日にトランプ米国大統領の就任式がある。子どものころ「年の始めのためしとて門松ひっくり返して大騒ぎあとの始末を誰がする」と歌った。トランプ氏の大統領選挙勝利が決まった日本時間11月9日、インタ…

窮地の韓国大統領

韓国のパク・クネ大統領が辞任の瀬戸際に立たされている。 韓国ギャラップの世論調査では支持率が5パーセントに落ちた。国家の機密文書を支持者の実業家に渡した疑惑のせいである。必要であれば大統領自らも検察の調べに応じる、とさえ発言せざるをえないと…

はて、面妖な

今日10月20日の朝日新聞朝刊4面に、以下のような気持ちの悪い記事が載っていた。 「選挙区が県境をまたぐ参議院の合区の解消について、自民党の高村正彦副総裁は19日、憲法改正で対応する考えを示した。近く党内に設ける検討機関で協議する。憲法審査会での…

まぼろしの中国戦艦

「戦艦」と聞けば、映画『戦艦ポチョムキン』や日本が降伏文書に署名した戦艦ミズーリ、日本製では戦艦大和などが頭に浮かぶが、2016年10月上旬の衆院予算委員会で、稲田朋美防衛省が突如、中国の戦艦を尖閣周辺の海域に出現させた。 10月4日の朝日新聞朝刊…

特別立法

天皇が生前退位を希望しているとの報道がされたのは7月のことである。その時即座に、菅義偉内閣官房長官は皇室典範の改正は考えていないと、定例記者会見で語った。 その後、流れは天皇の生前退位を認めもよいのではないかという方向に進んだ。皇室典範の改…

錯覚

地下鉄の中で、スマートフォンとにらめっこするでもなく、居眠りをするでもなく、年配の女性二人がおしゃべりを続けていた。 話題はリオのパラリンピック。 「テレビや新聞を見ると日本選手が大活躍しているように思うでしょ。そうじゃないの。金メダルの数…

アベマリオ

オリンピック大会が好きで安倍晋三首相も好きなグループと、オリンピックは好きだが安倍首相は嫌いなグループ、オリンピックは嫌いだが安倍首相は好きなグループ、オリンピックも安倍首相も嫌いなグループでは「アベマリオ」への反応は異なるであろう。 次期…

Catch-22

キャッチ-22は1960年代に米国の作家ジョゼフ・ヘラ―が書いた戦争小説のタイトルだ。半世紀以上も前に流行語になった。米国のウェブスターや英国のオクスフォードなどの英語辞典に収録されて今日に至っている。 第2次大戦のヨーロッパ戦線で爆撃機を操縦して…

生前退位

「日本国の天皇が退位をのぞむ」というニュースが、BBCやニューヨーク・タイムスなど世界のメディアで報道された。 7月14日付の朝日新聞夕刊によると、「菅義偉官房長官は14日の記者会見で、生前退位の制度を創設する皇室典範の改正については『考えていない…

7つの白い棺

ダッカのテロ事件でターゲットにされた7人の犠牲者の遺体が、7月5日朝、政府専用機で羽田空港に帰ってきた。 白い布に包まれた7つの棺が4台の運搬用トレーラーで運ばれ、その前に日本の外務大臣や駐日バングラデシュ大使や関係者が黒い服で整列している写真…

歴史はときどき後退する

「大風が吹けば桶屋がもうかる」式に話を繋いでゆくと、以下のようなことも言えないわけではない。 米国の第43代大統領ジョージ・ブッシュ・ジュニアが9.11のあと、アフガニスタン征伐を行った。以来、アフガニスタンの政情は不安定なままだ。その結果、アフ…

ご破算で願いましては

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉で日本側の交渉責任者だった甘利明・前経済再生担当相の現金授受問題が不起訴処分になったことで、甘利氏は再び政治活動の場にもどった。 アメリカ大統領選で共和党の候補者に確定しているドナルド・トランプ氏はTPP…

代言人

昔々、弁護士のことを日本では代言人と呼んだ。明治時代に入って西洋の裁判制度が導入され、英語のlawyer が「代言人」と翻訳された。「客といふも、大方借金取りか代言人だろふ」(歌舞伎「人間万事金世中」『精選版 日本国語大辞典』)。明治20年代後半か…

何て間がいいんでしょ

「さざえのつぼ焼き、何て間がいんでしょ」という俗謡を思い出した。 G7の伊勢志摩サミットで議長を務めた日本の安倍晋三首相は、リーマン・ショック級の経済危機再来の可能性に備えて財政出動を説いたが、ドイツのメルケル首相らに受け入れられず、少々トー…

プレゼンス

先日銀座へ出かけた。ここかしこに警察官の姿が見えた。道路脇に警察車両のマイクロバスが止まっていた。警察官が歩道の自販機から飲料水を買って車に持ち帰る姿が見えた。日差しの強い日だったので熱中症の予防だろう。お昼時だったので、車中で弁当を使っ…

まるで不条理劇を見るような

新聞各紙が5月17日の朝刊で、元東京大学学長で80歳の蓮實重彦氏の小説『伯爵夫人』が、三島由紀夫賞(新潮文芸振興会)に選ばれたと報じた。選考会は16日に開かれ、そのあと蓮實氏の記者会見があった。その一問一答をインターネット新聞『ハフィントン・ポス…

叩けばホコリの……

家族旅行の宿泊費や、イタリア料理屋、回転ずし屋、てんぷら屋の支払いに政治資金を使った、と週刊誌に報じられた舛添要一・東京都知事が5月13日の定例会見で、45万5千円を返金すると語った。要するに、使うべきでないところに政治資金を使ってしまった、と…

何の思惑あっての緊急事態条項

憲法に緊急事態条項を入れようではないかという動きが自民党内で強まっている。新聞も最近はこの動きを伝えることが多くなった。安倍政権がどんな内容を想定しているかについては、自民党の憲法改正草案が参考になる。 自民党の憲法改正草案は新たに設けた「…

よってくだんのごとし

与野党全面対決、夏の参院選を占う選挙と騒がれた衆院北海道5区の補欠選挙で自民党公認の和田義明氏が勝った。 和田氏は5区から選出されて衆院議長を務めた自民党の長老・故町村信孝氏の娘婿だ。カバンは知らないが、ジバンとカンバンを死んだ岳父から譲り受…

入学式の学長式辞は英語

桜が咲いて入学式のシーズンだ。 4月4日のNHKニュースが、東京工業大学の入学式で学長が英語で式辞を述べた、と伝えていた。20016年度入学式からの新しい試みだそうだ。 学長さんの英語をきちんと聞き取れない新入生がいることを予測して、大学は日本語訳を…

言葉の軽さを避ける方法

安倍首相が今年5月に伊勢志摩で予定されているサミットの準備のために、米国などのノーベル賞受賞経済学者らから世界経済に関する意見を拝聴している。 経済学者から消費税10パーセントへの引き上げを再先送りした方がいいという意見を引き出すのが目的のよ…

Trumpedeと安倍頭

米紙『ワシントン・ポスト』や『ボストン・グローブ』、英誌『エコノミスト』などが、米大統領候補選びで共和党のトップを走っているドナルド・トランプ氏を「阻止せよ」「首にせよ」と共和党指導部に呼びかけている。しかし、トランプ氏の猛進は止まらない…

ゲリマンダー

特定の党や候補者が有利になるように選挙区の区割りをすることをゲリマンダーと呼びならわしてきた。 百科事典を見るとこんなことが書いてある。19世紀初めの米国で、エルブリッジ・ゲリー(ジェリーともいう)マサチューセッツ州知事が行なった州議会議員選…

支離滅裂

順不同に記憶をたどれば、甘利・前経済再生相の「現金入り羊羹袋」、高市総務相の「電波停止」、島尻沖縄北方相の「歯舞」、丸川環境相「1ミリシーベルト」、宮崎謙介・前衆議院議員の「不純異性交遊」と、国会劇場には休む間もなく自民党議員によるお笑いの…