アメリカ合衆国が独立250年祝賀で打ち上げた85万発の花火の大半が中国製だった。あがる花火にアメリカ市民がUSAを絶叫し、大統領がFIFAに電話し、日本の政府・与党が皇室のダンケーを唱える間隙を縫って、中国人民解放軍の海軍の原子力潜水艦が、太平洋に模擬弾を撃ち込んだ。
もろこしの花火をあげた文月の火照りを冷ます沖の水煙
米国の中間選挙まであと4か月ほど。世界のドタバタはもっと激しくなりそうなのに、新聞は売れない。気の毒である。
(2026.7.7 花崎泰雄)
アメリカ合衆国が独立250年祝賀で打ち上げた85万発の花火の大半が中国製だった。あがる花火にアメリカ市民がUSAを絶叫し、大統領がFIFAに電話し、日本の政府・与党が皇室のダンケーを唱える間隙を縫って、中国人民解放軍の海軍の原子力潜水艦が、太平洋に模擬弾を撃ち込んだ。
もろこしの花火をあげた文月の火照りを冷ます沖の水煙
米国の中間選挙まであと4か月ほど。世界のドタバタはもっと激しくなりそうなのに、新聞は売れない。気の毒である。
(2026.7.7 花崎泰雄)
自民党憲法改正実現本部長の中曽根弘文参議院議員が6月28日、富山県高岡市で講演し、天皇陛下の長女愛子さまによる皇位継承は「あり得ない」と述べた.。共同通信が伝えた。共同の記事は29日の日経新聞で読んだ。記事の概略は以下の通り。
記事は①「愛子さまが天皇になったら、結婚する人もいない」②愛子さまが天皇になった場合には「男子を産まないといけないという、すごいプレッシャーがある」③「人気投票ではない。国家の天皇陛下を決める皇位継承をどうするかの議論であり、冷静に法律にのっとって論議しないといけない」と、中曽根氏が語ったと伝えた。
翌29日の朝日新聞電子版が中曽根氏の釈明会見を伝えたところでは、
⓸中曽根氏は愛子さまによる皇位継承について「あり得ない」と発言したことを認めた。「愛子さまが天皇になる可能性は今の皇室典範の状況からは『ない』ということを言いたかった」としたうえで「言葉はよくなかった」と中曽根氏は釈明した。⑤「愛子さまが天皇になったら、結婚する人もいない」と発言したことや、愛子さまが天皇になった場合に「男子を産まないといけないという、すごいプレッシャーがある」と発言についても中曽根氏はそれらを認めた。
子どものころ「頼朝公御年七歳のみぎりのシャレコウベ」という語りを落語の中で聞いた記憶がある。「愛子さまが天皇になったら、結婚する人もいない」という中曽根氏の見立てには、何の根拠もない。中曽根氏の願望かもしれない。愛子さまが天皇になった場合には「男子を産まないといけないという、すごいプレッシャーがある」という言い方は、中曽根氏の知性のレベルを疑わせる。愛子さまが天皇になったらという仮定には、皇室典範が男系男子による継承一途を改め、ヨーロッパ王室風の絶対的長子相続制に変更されたという大前提があり、女性の天皇が男子を産まないといけないというプレッシャーをうみだす状況は解消されている。
自民党憲法改正実現本部長の頭の中の論理回路に失笑してしまう。
中曽根氏は29日の釈明記者会見で、「男子を産まないといけないというプレッシャーがある」との発言については、「『お子さま』というべきところを『男子』と言ってしまった。訂正したい」と説明した。
(2026.6.29 花崎泰雄)
1991年の湾岸戦争では、イラクがペルシャ湾に機雷を敷設した。戦争が終わった後、日本の自衛隊も掃海作業に加わった。
2026年の米国とイスラエルによるイラン攻撃で攻撃を受けたイランがホルムズ海峡を封鎖した。機雷を敷設したとの情報もあった。イランを空爆した米国とイスラエルは、海峡封鎖もありうると知ってはいたが、最初の猛攻でイランが反撃をあきらめ交渉に応じると見立てていた。ところが、米国が手にしたものはアリ・ハメネイ師の首だけ。一方、世界に石油危機が広がった。米国の石油備蓄も急減した。米軍はパトリオット・ミサイルの手持ちが減った。何のために米国はイラン攻撃に踏み切ったのかと、米国をふくむ世界の市民が首をかしげている。
日本の国会で国旗損壊罪の審議が行われている。「国旗損壊罪」は戦前の日本には存在せず、戦後もこれまでに存在してこなかった。日本では内閣官房長官が記者会見するとき、壇上の日章旗に会釈する。高市首相は日韓首脳会談のさい、日章旗にも韓国の太極旗にもお辞儀した。彼らは国家というものに対する尊崇の念に駆られて本気でやっているのだろうか。検討が進められている皇室典範の改正についても、あれこれ複雑な手続き・手法を使って、天皇後継者から女性を排除する仕組みを制定しようとするたくらみが見える。国会議員の定数削減よりも衆議院選挙の並立制重複立候補のしくみを再検討するのが先だろう。
停滞から減衰へと進んでいる日本社会のやるせなさが生んだ支配政党の思いがけない膨張と対立する野党の凋落のおとしごのような高市政権は、首相が言うほどには日本は前にすすんでおらず、政策実現現場では足踏み状態である。
くわえて、高市早苗議員のスタッフが加わったとされる他候補を中傷する動画の件。週刊誌報道に関して、国会での質問に対してあれこれと弁解を重ね、野党が秘書の参考人招致を求めると、参考人として出席する代わりに秘書に陳述書を書かせ公表する、と答えた逃げっぷりの悪さ。あたまから週刊誌に抗議して釈明を求め、場合によっては訴訟に持ち込むと言っておけばよかったのに。少なくともほとぼりがさめるまでの時間は稼げた。そのくらいの弁護士費用ならまかなえるだろうに。右往左往して自分で傷口を広げてしまった。
(2026.6.26 花崎泰雄)
今から2年ほど前の2024年10月に国連女性差別撤廃委員会が、日本の女性政策に関連して、日本の皇室典範を男女の平等な皇位継承を保障するように改正すべきだと勧告した。日本政府は委員会に皇室典範に関わるこの記述を削除するよう申し入れたが、委員会に聞き入れられなかったので、日本政府は同委員会の拠出金を止めた。委員会は継承を男系男子に限るのは女性差別撤廃条約に反すると指摘、日本政府は皇位につく資格は基本的人権に含まれないと反論した。
日本国憲法は皇室典範より上位の法律である。憲法がすべての国民が法の下に平等であると言っている以上、下位の皇室典範がこれを無視するのはよろしくない、という国連女性差別撤廃委員会の見解はもっともである。皇位につく資格は基本的人権に含まれないという日本政府の主張の論理については、新聞はきちんと報道しなかった。想像するに、マックス・ウェーバーが『支配について』(野口雅弘訳、岩波文庫)で言ったように、家父長制の規範は「伝統」、つまり過去にずっとそうであったものはずっとそうであったのだから不壊であるという信仰にもとづいている――つまり理屈で説明がつくものではない、ということのようだ。
オーストラリア、ニュージーランド、カナダは立憲君主国で、国王はイギリス国王の兼任であり、したがって男女いずれもが君主の座に就く。君主の名代として総督がそれぞれの国に常駐する。これは各政府が指名する。現在は3ヵ国とも女性が総督の任についている。マレーシアもイギリス連邦加盟の立憲君主国であるが、国王は自国で選出している。国内の9つの州のスルタンが互選(実質輪番)で国王を務める。国の宗教がイスラム教で、女のスルタンは今のところいないので、国王は男性に限られる。ローマにあるバチカン市国の元首は教皇で、教皇は枢機卿のなかからえらばれるが、女性の枢機卿は今のところいないので、教皇は男性の職務である。
ふりかえればインドネシアの初代大統領スカルノには複数の妻がいた。年月を経てスカルノの長女・メガワティが選挙で大統領に選ばれたとき、副大統領はイスラム系の政党党首で複数の妻がいた。インドネシアは婚姻法で一夫一婦制を原則にしているが、例外的に一夫多妻を許容している。一妻多夫は認めていない。一方、世界には時代や地域によっては複数の夫を持つ妻も習俗として存在した。
日本の場合、徳川将軍家や大名などの武家社会では世襲の後継男子確保のために側室が制度化された。これは日本の朝廷も同じで、例えば、明治天皇も、大正天皇も側室から生まれた。徳川家斉には正妻以外に十数人の側室がいて、数十人の子どもが生まれたが、乳幼児死亡率が高かった時代のことで、その多くは若死した。育った子どもは大名家に養子としておくりこんだ。
皇室の後継者不足の対策としては側室制度や養子縁組が有効だろうが、21世紀のいまどき側室を制度化することには強烈な批判があろう。現行の皇室典範が養子を認めていないのは、天皇の血筋を守るためと考えられる。つまるところ、遺伝子の継承である。男性の遺伝子を尊重するあまり、男子の養子制度を解禁すれば、場合によってはより薄い遺伝子を求めるという矛盾にさらされる。
合計特殊出生率が1.14(2025年)の時代、徳川時代にも明治時代にも戻れぬいま、側室制度や養子制度に頼るのではなく、男女ともに皇位継承の有資格者とするのが、最もすなおな方法である。
(2026.6.15 花崎泰雄)
新聞がソニー・ロリンズの訃報を伝えた。引退後は米ニューヨーク州ウッドストックに住んでいた。享年95歳。あれやこれやで短命のプレーヤーが多かったジャズ界では異例の長寿だった。クリフォード・ブラウンは25歳で世を去った。チャーリー・パーカーは34歳、バド・パウエルは41歳、ビリー・ホリデイは44歳、レスター・ヤングは49歳で死んだ。
ロリンズは麻薬常用で2度ほど刑務所へ送られたが、きちんと治療を受けてジャズシーンにカムバックした。何よりも95歳まで生きたのはめでたいことである。
私はアルバム『サキソフォン・コロッサス』の “St.Thomas”が好きだ。ゴムまりのように明るく音がはずむ。
ニューヨーク・タイムズ紙の訃報によると、ロリンズと同じテナーサックス奏者だったベニー・ゴルソンが2024年に死んだとき、ロリンズは、写真家のアート・ケインが雑誌『エスクワイア』のために撮影した “Harlem 1958”の58人のジャズ演奏家の集団写真の最後の生き残りになった。
<https://www.nytimes.com/2018/09/25/lens/great-day-in-harlem-art-kane-jazz.html>
ロリンズは「私のアイドルはコールマン・ホーキンスとレスター・ヤングだった。2人と一緒に1958年の”Harlem 1958”の58人の中に入れてもらえたことがうれしかった」とタイムズ紙の記者に語った。
若いころはテナーサックス奏者では、ジョン・コルトレーンよりもソニー・ロリンズが私のお気に入りだった。年をとるにしたがって、ロリンズよりもレスター・ヤングがお気に入りになった。弾む音も良いが、ロッキングチェアーでのんびり聞ける旋律も捨てがたい。
(2026.5.27 花崎泰雄)
2005年の「皇室典範に関する有識者会議報告書」は皇位継承順位について「天皇の直系子孫を優先し、天皇の子である兄弟姉妹の間 では、男女を区別せずに、年齢順に皇位継承順位を設定する長子優先の 制度が適当である」と議論をまとめた。だが、秋篠宮家に男子が誕生したことで、政治家たちは有識者会議の議論をそのまま放置した。
それから20年。天皇制維持のために必要な安定した男子後継者の確保ができるよう、皇室典範を変えようという話を政治家たちがむし返している。だが、基本的な考え方は2005年の有識者会議報告書で出されているのだ。
スウェーデンは1979年に国王の長子継承を決めた。オランダ(1983年)、ノルウェー(1990年)、ベルギー(1991年)、デンマーク(2009年)、イギリス(2011年)がそれに続いた。これらの国では例外的な場合を除き、王位継承権は男子優先だったが、出生率の低下やジェンダー平等の考え方の普及と定着で、男女に関係なく生まれた順に継承権を与える方向に転換した。
日本の皇室も男子後継者難だ。このまま「皇位継承は男子に限る」制度に執着すると、やがて天皇の後継男子がいなくなるだろう。天皇が空位になるということは、日本の象徴が消えるということである。それなら立憲君主制から共和制に移行するだけのことだという人もいるだろう。ネパールは2008年に王制を廃止して共和国になった。いっぽう、日本は立憲君主国のままでいる方がよいと考える人もいるだろう。
天皇の空位にどう対処するか。共和制移行の場合も、立憲君主制保持の場合も、憲法改正から始めなくてはならない。「第1章 天皇」をどのように変更するかの議論である。
天皇の空位をきっかけに、共和派と立憲君主派が憲法改正をめぐって衝突し、場合によっては存立危機事態へと暗転する可能性もある。
ヨーロッパが選択した長子優先に移行するのが常識的な態度である。それ、現行日本国憲法も言っている。「第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」
(2026.5.26 花崎泰雄)
教育基本法に以下のように書かれている。
第14条 良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
京都・同志社国際高校の生徒らが乗った船が研修旅行中に、沖縄・名護市の辺野古沖で転覆、生徒1人と船長が死亡した。この事故で松本洋平・文部科学大臣が5月22日、同志社国際高校が政治活動の禁止を定めた教育基本法に違反したと認定した。辺野古では米軍普天間飛行場を移設するため埋め立て工事が行われている。沖縄県が移設に反対するなかで、政府は代執行で工事を進めている。
一方、新潟の北越高校のソフトテニス部の部員が乗ったマイクロバスの事故で部員1人が死亡、26人がケガをした。
ふたつの事故で問題にされるべきは学校行事の安全な運営である。同志社国際高校の研修旅行に文部科学大臣が身を乗り出し、教育基本法違反を認定したのは、研修旅行が日米安全保障条約に関わる「辺野古沖埋め立て」見学だったからだ。
学校行事として「辺野古埋め立て工事見学」がふさわしくないのなら、「広島と長崎の爆心地見学」や、日米戦争の発端になった米国ハワイ州ホノルル市の「パールハーバー見学」「中国・南京訪問」「韓国・板門店見学」なども学校主催の修学・研修旅行の行き先として鬼門視されるようになる。
過去には日本の中学校が修学旅行で靖国神社の遊就館を訪れて議論になったこともあったが、2013年に平沼赳夫衆議院議員の文書による「学校行事として靖国神社・護国神社訪問を禁じた文部事務次官通達に関する質問」に対して、「文部科学省としては、学校における授業の一環として、歴史や文化を学ぶことを目的として、神社、教会等の宗教的施設の関係者から当該施設の歴史、由来等について知識として説明を聴取することは、特段の支障がない限り、行ってよいものと考えている。そのような趣旨で、例えば、御指摘の靖国神社等についても、その関係者から同様の目的で聴取してよいものと考える」と政府は文書で答弁した。
同志社国際高校の事故で文部科学大臣は、船長から抗議活動についての説明を受けていたことも、教育基本法の違反の判断資料になったと言った。半面、政府は2013年の文書による答弁で「学校における授業の一環として、歴史や文化を学ぶことを目的として、神社、教会等の宗教的施設の関係者から当該施設の歴史、由来等について知識として説明を聴取することは、特段の支障がない限り、行ってよいものと考えている」としている。
文部科学省は2015年に「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」という通知を都道府県教育委員会などに送っている。
このなかで、文部科学省は法改正で投票権が18歳以上になったので、高等学校や特別支援学校に国民投票の投票権や選挙権を有する生徒が在籍することになることから、「学校が政治的中立性を確保しつつ、現実の具体的な政治的事象も取り扱い、生徒が有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう」実践的な指導する。また、「現実の具体的な政治的事象については、種々の見解があり、一つの見解が絶対的に正しく、他のものは誤りであると断定することは困難である。加えて、一般に政治は意見や信念、利害の対立状況から発生するものである。そのため、生徒が自分の意見を持ちながら、異なる意見や対立する意見を理解し、議論を交わすことを通して、自分の意見を批判的に検討し、吟味していくことが重要である。したがって、学校における政治的事象の指導においては、一つの結論を出すよりも結論に至るまでの冷静で理性的な議論の過程が重要であることを理解させる」ことなどを伝えた。
有権者の生徒とそうでない生徒がいる「汽水域」である高等学校の政治的教養と政治リテラシーの涵養と練磨は重要な課題だ。教育基本法14条がいう「公民としての政治的教養」の充実と推進が進められるべきである。それを等閑視して、14条第2項にのみ心を奪われるのは政治的発想の貧困である。
首相も文部科学大臣も政治的イデオロギーを持つ政党の党員であり、ややもすれば政党は機会を利用して支配する側の権力の拡張を目指し、党員はその拡張にもっぱら自己の政治的温存を託す――という現実はあるにしても。
(2026.5.23 花崎泰雄)